化学物質排出把握管理促進法
目的
化学物質排出把握管理促進法(以下略、化管法)は、PRTR制度とSDS制度から形成されています。
事業者による化学物質の自主的な管理の改善を促進し、環境の保全上の支障を未然に防止することが目的です。
PRTR制度
化管法の制度の1つとして、PRTR法というものがあります。
PRTR法では、以下の3つの部分があるとされています。
1.事業者による化学物質の排出量等の把握と届出
2.国における届出事項の受理・集計・公表
3.データの開示と利用
まず大きな役割として、事業者は対象化学物質を排出・移動した際には、その量を把握し、国に届け出る義務があります。
また、国等は集計データを公表し、また国民は事業者が届け出た内容について開示を請求することができます。
対象事業者
PRTR法において、対象となる事業者は以下になります。
- 政令で指定されている対象業種(24業種)
- 常用雇用者数が21人以上の事業者
- 年間取り扱い量が1t以上(特定第一種化学物質については0.5t以上)
対象化学物質
PRTR制度の対象になる化学物質は、本法上においては「第一種指定化学物質」として定義されています。
具体的には人や生態系への有害性(オゾン層破壊性を含む)があり、
環境中に広く存在する(暴露可能性がある)と認められる物質として、計462物質が指定されています。
そのうち、発がん性、生殖細胞変異原性及び生殖発生毒性が認められる「特定第一種指定化学物質」として
15物質が指定されています。
対象製品
PRTR制度の年間取扱量や排出量等を把握・報告する際に対象となる製品(取扱原材料、資材等)の要件は以下になります。
- 対象化学物質(第一種指定化学物質)を一定割合以上(1質量%以上。ただし、特定第一種のみ0.1質量%以上)含有する製品
なお、事業者による取扱いの過程で対象化学物質が環境中に排出される可能性が少ないと考えられる製品については、事業者の負担等を考慮し、例外的に把握の対象外としています。
例外とされるのは、以下のような製品です。
- 対象化学物質の含有率が少ないもの:対象化学物質の含有量が1%未満の製品(特定第一種指定化学物質の場合は0.1%未満の製品)
- 固形物(粉状や粒状のものを除く):金属板や管等
- 密封された状態で使用する製品:乾電池等
- 一般消費者用の製品:家庭用洗剤、殺虫剤等
- 再生資源:金属くず、空き缶等
SDS制度
PRTR制度と並ぶSDS制度は、事業者の化学物質の適切な管理のための制度です。
化管法で決められた対象製品を提供する際に、SDS(Safety Data Sheet)を提供することで、製品を適切に使用することができるようにします。
PRTR法では国への報告が必要でしたが、SDS制度では国への報告義務はありません。
しかし、SDSの提供、ラベルの表示を含めて、対象となる事業者は制度の実施に努めなければならないとされています。
対象事業者
SDS制度における対象事業者は以下になります。
- 全ての業種が対象
- 常用雇用数によらず、小規模であっても対象
- 年間取り扱い量にかかわらず対象
PRTR法と比べて、ほとんどの事業者の方に当てはまるのがSDS制度になります。
対象化学物質
化管法SDS制度の対象となる化学物質は、「第一種指定化学物質」及び「第二種指定化学物質」として定義されています。
具体的には、人や生態系への有害性(オゾン層破壊性を含む)があり、環境中に広く存在する又は将来的に広く存在する可能性があると認められる物質として、計562物質が指定されています。
令和3年10月の化管法政令改正により、第一種指定化学物質は515物質に、第二種指定化学物質は134物質(合計649物質)となりました。
しかし、政令改正後の指定化学物質のSDSの提供は令和5年4月1日からです。
政令改正前(令和5年3月31日まで) | 政令改正後(令和5年4月1日以降) | |
第一種指定化学物質 (PRTR制度、SDS制度の対象物質) | 462物質 | 515物質 |
第二種指定化学物質 (SDS制度の対象物質) | 100物質 | 134物質 |
計 | 562物質 | 649物質 |
対象製品
SDS制度ではほとんどの製品が対象となります。
例外的に以下の製品は対象外とされています。PRTR法の例外製品と同じです。
- 対象化学物質の含有率が少ないもの:対象化学物質の含有量が1%未満の製品(特定第一種指定化学物質の場合は0.1%未満の製品)
- 固形物(粉状や粒状のものを除く):金属板や管等
- 密封された状態で使用する製品:乾電池等
- 一般消費者用の製品:家庭用洗剤、殺虫剤等
- 再生資源:金属くず、空き缶等
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